2020阪神大賞典 G2 回顧
さて、今週は阪神大賞典を予想した。回顧を書いていく。
初めに、事前予想を振り返る。
そして、事前予想の指数と追い切り評価は以下である。
1位 ユーキャンスマイル 81 B
2位 キセキ 79 A
3位 ドレッドノータス 77 C
3位 メイショウテンゲン 77 A
5位 ムイトオブリガード 75 A
6位 タイセイトレイル 73 B
7位 トーセンカンビーナ 72 A
7位 レノヴァール 72 C
9位 ボスジラ 71 A
10位 メロディーレーン 70 B
続いて、最終予想と買い目を振り返る。
◎キセキ
◯ユーキャンスマイル
▲メイショウテンゲン
馬連 ◎ー◯ 700円(本線)
三連複 ◎ー◯ー▲ 200円
本命対抗の馬連と枠連が本線。どっちがオッズが高くなるか分からなかったので馬連と枠連に分散した。本命対応は印をつける都合で分類しただけで、馬券的に差はなく、事実上のダブル本命。
3着候補にメイショウテンゲンを選択して三連複を少々購入した。
予想の意図を書いていこう。
まずは馬場だが、かなり時計の出る高速馬場で、極端な先行有利馬場。そして、スローからのロンスパ戦を想定していたので、長く良い脚を使える馬を選択していく予定だった。
本命はキセキ。ここ目標に調整してきたとのことで、仕上がりは十分。それでいて能力上位だったので、普通に走れば連対は外さないだろうと予想した。本質はマイラーなので向くとは思えなかったが、相手関係も弱いし高速馬場なら3000mでも勝ち負けと判断した。
対抗はユーキャンスマイル。追い切りを見る限り若干仕上がり途上かなと思っていた。馬体重もプラス12kgだったが、馬体を見る限り太めには見えなかった。また、この馬も長距離が向く馬ではないし、ここを叩きということもあるのだが、能力差でカバーできると判断した。
すなわち、この本命対抗は流れは向かずとも地力だけで勝ち負けになるくらい指数が抜けていた。この2頭は能力も抜けているので、普通に走れば本線の馬連・枠連は当たるだろうと判断した。
3番手評価にメイショウテンゲン。スタミナ豊富な馬なのでロンスパ戦は合うと判断し、3番手評価とした。一応指数は上昇中だったので、脚を余すことなく発揮できれば本命対抗に逆転可能なのはこの馬だけと判断して、三連複で抑えた。
ここまで、指数3位の77までで馬券を組んだが、同率3位のドレッドノータスは京都でしか走らないし、追い切りも微妙だったので消しとした。
結果は、
1着 ユーキャンスマイル ◯
2着 トーセンカンビーナ 無
3着 メイショウテンゲン ▲
4着 ムイトオブリガード 無
5着 メロディーレーン 無
と言うことで、キセキが凡走したため外れだ。
外れた原因としては、キセキの凡走なのでこの点をメインに回顧を行っていこう。
本線的中には関係ないが、▲メイショウテンゲンが無印のトーセンカンビーナに逆転されているので、その点にも触れていこう。
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レース内容
まずは、レースを振り返る。
馬場は、かなり時計の出る高速馬場だった。
勝ち時計は3分3秒でコースレコードに0.5秒差に迫る好時計だ。
ラップタイムは、13.2 - 12.2 - 12.3 - 12.2 - 12.7 - 12.4 - 12.2 - 12.4 - 11.6 - 11.7 - 11.9 - 11.9 - 11.8 - 12.0 - 12.5
前半1000mー中盤1000mー後半1000mは、62.6-60.3-60.1と、中盤から淀みない流れになっている。ラップタイムで11秒台が出たところを赤字で示しているが、急に早くなったのが、残り1400m地点からだ。これは暴走したキセキが前を突いたところだ。これにより、1400mロンスパ戦という異常なレースになった。その結果、前に居た馬は厳しくなり、後方でじっと待機していた馬が漁夫の利を得る感じでワンツースリーとなった。先行有利馬場であるが、この流れなら当然差しは決まる。
ここまで早くペースが上がるとは予想できなかったが、このロンスパは結果的には印を打った馬たちには影響ないので、これが馬券を外した要因ではない。
レースの質としては、スタミナ適性と瞬発力適性の両面が問われたレースと判断する。超ロンスパ戦と言えど、高速馬場でラストの瞬発力は必要になっているのでね。
まあ、これらの適性よりも、中段から後方でじっと動かずに待機できることの方が重要だったと思う。長距離戦にありがちな要素だ。
レースレベルとしては、勝ち馬の指数は79。重賞としては十分高めな指数だ。勝ち馬推定ラインの80には1ポイント及ばなかったが、ほぼ想定通りだ。
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1着 ユーキャンスマイル
「仕上がり途上だったが、能力上位で圧勝。」
今回の指数は79。ベストは58kgを背負った天皇賞・秋で81なので、56kgで79は物足りないのだが、その辺は仕上がり途上と適性外なレースだったことだろう。
仕上がりに関してだが、追い切りでやや物足りなさは感じたが、馬体に太め感はなかったので、大きな問題ではない。
そう考えると、やはり、指数を落とした大きな要因はロンスパ戦になったことだ。もともと高速馬場での中距離戦の瞬発力勝負を得意としている馬なので、3000mで1400mのロンスパ戦になっては当然適性外だ。
もちろん、ロンスパ戦は想定済みだったので、得意な流れでなくても、能力差で圧倒してくれると判断して対抗としたのだが、まさにその通りとなった。2着に0.3秒差をつけての圧勝となり、ここでは能力上位だ。指数を落として79とは言え、普通にG2としてはハイレベルだから、レースのレベルが低いというわけではない。
レースを振り返ろう。
この馬は、終始中段より後ろでじっと待機していた。キセキが暴走したことで、残り1400m地点でペースが早く上がったことは想定外だっただろうが、焦らずじっと待機して難なくスタミナ戦を制した。長距離戦で捲りが起これば、じっと待機するのが定石だが、岩田騎手が定石通り、しっかり内で脚をためてくれた。
4コーナーでは馬也のまま抜群の手応えで前に迫っていき、追ってからはそのまま突き抜け危なげない完勝だった。直線でも内を捌いてと文句なしの騎乗であった。
今回はこの馬にとっては叩きだが、重賞で3つ目のタイトルを手に入れ、今年こそG1タイトルを狙いにいくところであろう。
現状の能力でも、しっかり仕上げれば80オーバーの指数が出るだろうから、どのG1でも勝ち負けになるだろう。ただ、長距離は本質的には向かない上に、グローリーヴェイズ、フィエールマンらの大将クラスが非常に強い。この馬の、ベストパフォーマンスを発揮できる中距離で戦って欲しい。中距離戦ならどのG1でも本命候補となるだろう。
2着 トーセンカンビーナ
「成長分と展開利で好走できた。」
近4走の指数は64→68→68→72と上昇傾向だったが、今回も指数を伸ばし76だ。
追い切り評価もAとしたが、3頭併せを一瞬でぶっちぎっており、状態の良さを感じさせていたので、上昇要因としては状態が良かったことがあるだろう。
さらに、ロンスパ戦となり、後方でじっと待機していたこの馬に展開が向いたことも、上昇要因の一つだろう。
レースを振り返ろう。ほぼ100%出遅れる馬であるが、例外なく今回も出遅れた。ただ、長距離戦なので出遅れの影響はほぼなかった。むしろ、後方待機が展開的に向いたので、今回に関しては出遅れが良い方に向いたことになる。
今回は展開が向いて76と高指数だが、成長分もあるのでまだ上昇可能だ。76であれば重賞でも勝ち負けできるし、 更に上昇できれば将来的にはG1で戦えるようになるだろう。期待したい。
3着 メイショウテンゲン
「もっとスタミナが問われる方がいい。」
2走前が指数72だが、不利を加味すると実質75程度。前走が77。今回は75なのでほぼ能力通り走れている。
ただ、追い切り評価をAとし、成長分ありと判断したにも関わらず、2ポイントダウンでは物足りない。落とした要因はおそらく適性だろう。
前走のダイヤモンドステークスで自己ベストの77を出した時は、全馬がバテバテになるとような異常なレースだった。今回もロンスパ戦と言えど、そもそもの馬場が、かなり時計の出る高速馬場だったので、全馬がバテるような展開にはならなかった。前走のレース上がりが38.1秒で、今回が36.3秒であることからも、前走の方がスタミナ適性が問われたことがわかる。
事前予想でも書いたが、この馬の適性は4000m以上の超長距離で、アルバートやカフジプリンスのようなタイプの超スタミナ馬だろう。今回は前走ほどスタミナが活かせなかった分で指数を落としたと判断する。
無印のトーセンカンビーナに逆転を許したのは、この適性の差だろう。前走、展開が向いて77という指数を出したが、今回はスタミナが活かせずに指数を落とし逆転を許したということだ。もちろん、これは事前に検討してはいたが、3着候補であり、馬券も200円のみなので、好走できる方にかけたということだ。少なくとも追い切りからは自在性が増してそうだったので、この馬を3番手評価にした判断は問題ない。
レースを振り返ろう。
道中は中段で脚をため、ラストは外を回して前を捉えにいく、普通の競馬だった。
今回のレースを見て思ったことは、時計の出るレースでも追走には苦労していなかった点だ。これまでなら、4コーナーで踏み遅れて、脚を余していただろうが、今回はそうはならなかった。やはり、近走よりは自在性が増してきている気がする。これまで池添騎手は下手に乗っていたので、松山騎手への乗り替わりもプラスだっただろう。
今後は、時計の出る馬場なら指数75程度が限界だろうから低レベルな重賞なら勝負になる。もっと上の舞台を狙うなら、もっとバテバテになるような異常な馬場や展開になることを期待するか、成長分に期待するかだ。
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4着 ムイトオブリガード
「状態は良かった。使える脚が長くないので厳しかった。」
追い切りは評価Aとしたように抜群に良かった。それでいて、馬体重が増えていてかつ太め感は無かったので、この馬体重増は成長分だろう。
今回の指数は74だった。ベスト時はアルゼンチン共和国杯で75だったので、ベストには1ポイント及ばずだ。
指数が及ばなかったのは、適性外だった分だ。使える脚が短いので、瞬発力勝負を得意としているが、今回はかなりのロンスパ戦だったし、先行していたこともあり、かなり厳しいレースで最後には脚が止まってしまった。ただ、この厳しいレースでベストに匹敵する指数を出せたことに価値がある。馬の能力的には明らかにアルゼンチン共和国杯の時よりも上だと思う。
ここへ来て成長を見せてきており、今後が楽しみになった。目黒記念などであれば勝ち負けになるので期待したい。
5着 メロディーレーン
「長距離のスタミナ比べは得意なので好走できた。」
この馬の指数ベストは菊花賞で70なので、長距離のスタミナ比べが得意なことは明らかだ。今回は、1400mのロンスパ戦でスタミナが問われたこともあり、得意条件に合っていた。
それもあり、指数は75と自己ベストを5ポイント更新だ。全く成長していないということもないだろうから、菊花賞から2kg減で適性も合えば、この上昇分にも納得だ。
今後はというと、定量戦の重賞となると能力的に足りない。長距離のハンデ戦などで戦っていくのがいいだろう。夏は札幌2600mのオープン特別などが良い。重賞で戦うならば更なる成長分が必要だ。馬体重が増えてくれれば良いが。
6着 タイセイトレイル
「先行していて、今回の流れでは厳しかったが、最後まで粘ることができた。」
指数は73と自己ベストタイではあるが、叩き良化型なので上昇を見込んでいたことを考えると、伸び足りない。伸びなかった要因としては、先行していて1400mロンスパ戦の厳しい流れになったことだろう。スタミナのある馬なので、大きく指数を落とすことは無かったが、それでもスローのままならもう少し指数が出ただろう。展開的に向かなかった。
レースを振り返ろう。
先行して、スローのまなならかなり良い位置取りだっただろう。ただ、キセキが捲ってペースが上がってしまい、この馬も前を譲らずに競り合ったのでペースが上がってしまった。それが厳しくなり、能力も足りずに6着までとなった。
今後はというと、展開が向いて75ほどが出せれば、低レベルな重賞なら勝ち負けになる可能性はあるレベルだ。
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7着 キセキ
「暴走してやったぜ。」
酷いレース、酷い騎乗だったな。
まずは大出遅れ。前目ではスタミナが切れる可能性があるので、プチ出遅れぐらいがちょうどいいと書いたが、まさかこんなに遅れるとは思わなかった。それでいて、結局捲って前につけているので、出遅れた意味がない。
後方でじっとしていれば、差し競馬で連対できただろうから、この捲りは悪手すぎる。捲ってしまったのは、キセキがかかり気味だったからであるが、川田騎手にはなんとか抑えて欲しかったところだ。もしくは、先頭まで捲り切るなら良かっただろうが、タイセイトレイルに抵抗されて先頭に立てず、中途半端な捲りになってしまった。
そして、本質はマイラーなので、ここまでのロンスパ戦は向かなかった。レースが1400mロンスパ戦ならば、この馬は1600mぐらいのロンスパをしていることになる。本質はマイラーだが、マイル分もスパートをかけて道中でスタミナを消耗していたら、いかに能力上位と言えど好走はできない。
800mから1000mぐらいのロンスパなら能力で対応できるとして、本命にしたのだが、ここまでのロンスパになる、しかも、自らそれを演出するとは思わなかった。
この馬の気性面を甘く見て本命にしてしまったことが、馬券的な敗因だ。ただ、前走までを見る限りは、ここまで一気に気性が悪化するとは思えなかったので、事前に判断することは難しかったことと思う。
この気性の悪化は父のルーラーシップに似てきたということだろうな。出遅れるようでは、短距離では致命的だし、かかるようでは長距離でも厳しい。おそらく、この気性はもう治ることはないだろうが、一度しっかり走るのを見せるまでは、印は打たない方が良いだろう。
8着 ボスジラ
「能力通りの走りができた。」
これまでの指数ベストが71で、今回は72とベストは更新できている。
普通に成長分で指数を伸ばして、普通に能力通り走って8着である。期待外れだったわけではなく、3番人気が過剰人気だっただけだ。マウントロブソン、ポポカテペトル、ミヤマザクラの兄弟という良血が人気にさせたのだろうか。
ロンスパに巻き込まれたのもあるが、それを加味しても能力的には足りていなかっただろう。
今回でスタミナ適性は示せたし、指数もまだ上昇可能なので、今後の成長に期待といったところか。
9着 レノヴァール
「状態も良く無かったし、軽い馬場も合わなかった。」
追い切り時計が出ておらず、状態はイマイチだったと思う。
また、事前予想にも書いたが、適性がスタミナに振り切っているような馬なので、今回の馬場は軽すぎた。もっと長い距離で、もっと重たい馬場でなければ厳しいだろう。
指数的にも、馬場がドロドロのオープン特別なら勝ち負けできるかといったところだろう。
10着 ドレッドノータス
「スタミナが切れた。」
キセキの捲りに抵抗したタイセイトレイルに抵抗して先頭を守り切った。能力的に足りない馬なので、そこまでして先頭を守りきらなくても良いのにとは思うが、先頭を守り切ったことでペースが上がってしまい、逃げたこの馬には一番厳しい流れになったと言えるだろう。
状態も悪く能力的にも足りない馬なので、この流れには耐えられずに、直線で失速してしまったということだ。今後も好走するイメージはないが、得意の京都でなら、可能性はゼロではないというレベルか。
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総括
まず、1着ユーキャンスマイルだが、一番厄介だったキセキが勝手に自滅してくれた。他に能力的に対抗できる馬はいなかったので、適性外ながら楽勝なレースであった。
2着のトーセンカンビーナは成長分もあるが、ロンスパに付き合わずに、後方でじっと脚を溜めていたのが功を奏した形になった。
3着メイショウテンゲンは、馬場が軽すぎてベストパフォーマンスを発揮することができなかった。
4着ムイトオブリガードは、状態こそ良かったがロンスパ戦がそもそも向かなかった。
5着メロディーレーンは長距離適性を示してよく頑張ったと思う。
今回は、キセキが出遅れから捲ってオーバーペースにするという暴走が原因で、勝手に自滅してしまい、凡走。馬券も不的中となった。ここへ来て、気性悪化が開花するとは考えていなかったので本命としてしまった。一応、ルーラーシップ産駒の特徴として覚えておくが、これを事前に判断するのはかなり難しいだろうな。
今回の敗戦を野球で例えるならば、立ち上がりが悪く、3回で70球ぐらい投げてしまい、5回も持たなかったイメージだな。
今後
1着ユーキャンスマイルは適性外ながら文句なしの圧勝で、中距離G1では最有力候補になるだろう。
2着トーセンカンビーナは成長分こそあるが、若干恵まれたのはあるので、次走注意だ。
3着メイショウテンゲンは自在性がついてきたのは大きなプラスだろう。もっとタフな馬場で狙いたいところだ。
4着ムイトオブリガードは、今回は適性外ながらよく頑張った。瞬発力勝負になりそうな重賞で狙ってみたい。
5着メロディーレーンも342kgでよく頑張っているが、故障が怖すぎるので馬体重が増えて欲しい。
あとはキセキだが、一度気性面が改善するまでは静観しようと思う。治らない可能性の方が高く、このまま引退してしまう気がするが。
以上で阪神大賞典の回顧を終了する。
高松宮記念は、ここ数年に比べレベルが高そうで楽しみだ。