2020CBC賞G3 回顧
さて、今週はCBC賞を予想したので回顧を行う。
初めに、事前予想を振り返る。
出走馬の近4走指数と追い切り評価は以下である。
JRA芝近4走最大指数
1位 クリノガウディー 78 A
2位 アウィルアウェイ 77 B
3位 ショウナンアンセム 76 C
4位 ディメンシオン 75 B
4位 ジョイフル 75 B
4位 エイシンデネブ 75 C
4位 レッドアンシェル 75 A
4位 アンヴァル 75 B
9位 タイセイアベニール 73 A
9位 グランドロワ 73 B
11位 ノーワン 72 C
12位 ロケット 71 B
13位 ミッキースピリット 70 B
14位 ダイシンバルカン 67 B
15位 ラブカンプー 66 C
15位 ナインテイルズ 66 C
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レース内容
まずは、レースを振り返る。
勝ち時計は1分8秒7。土日の雨量は意外と少なく馬場は稍重まで回復していた。それでも1分8秒7と時計はかかっている。高速適性は不要なレースだった。
ラップタイムは12.0 - 10.7 - 10.8 - 11.1 - 11.7 - 12.4。
前半600mー後半600mが33.5秒-35.2秒と、字面は1.7秒前傾のハイペースだ。
ただし、当日は結構な風が吹いていた。風向きは南西で風速は5mから10mほどだった。(図の矢印の方向)。向正面追い風、直線やや向かい風から横風気味だ。風を考慮すると前半スピードが出やすいため、字面はハイペースでも実質平均ペース程度だろう。
また、基本的には前が残りやすい阪神内回り1200mだし、今週の開催も先行有利傾向が続いていた。稍重馬場で末脚が決まりにくい馬場というのもあり、前が残るのは妥当である。
したがって、先行有利レースになった上に、割と縦長展開であり、位置取りの寄与がかなり大きいレースとなった。
逃げたラプカンプーが勝利、先行したアンヴァルとレッドアンシェルが2、3着と完全に前が残る展開となっている。いずれも直線に向いた時には5番手以内につけていた馬だ。
そして、物理的に勝ち負けを狙える位置はこの5頭(上記3頭にディメンシオンとダイシンバルカン)であり、これより後ろにいた馬は位置取りの時点で敗戦している。したがって、ほとんどの馬が物理的に届かない位置からの競馬で力を出し切れていない消化不良のレースとなった。
よって、先行して好走した馬は展開利を受けているため、過剰評価にならないようにする。後方から差し遅れた馬は位置取り起因の敗戦ということで、過小評価にならないようにする。これらに関して、各馬の回顧で個別に書いていこう。
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1着 ラプカンプー
「軽斤量と先行有利レースの恩恵を最大限受けた。」
好スタートからの単騎逃げで、4コーナーでは後続に3馬身ほど差をつけていた。先行有利レースの恩恵を一番に受けたのはこの馬だろう。今回の指数は78とここ最近では最高値で、2年前のスプリンターズステークスの80に匹敵する高指数だ。ただし、斤量は51kgだったし、先行有利レースの恩恵を最大限受けての78である。再現性はなく、実力での勝利ではない。
ただしここ2年は、厳しい展開になると自らレースを辞めることが続いていた。精神面での脆さを見せ続けていたのだが、前走1000mで刺激を与えたこともあってか、レースを投げ出すことはなかった。その点では復調気配と言っていいだろう。
それでも現状の能力は51kgで78と、最高値からは下降傾向であることに間違いはない。定量戦で、馬場もフラットならG3でも厳しいレベルである。この1勝で大きく評価が上がることはなく、せいぜいレースを投げ出すことがなくなった点で復調したという評価だけだ。今後も、展開利がありそうなら重賞で狙っても良いが、基本は消しでいい。
2着 アンヴァル
「先行有利レースの恩恵に受けて好走。」
好スタートから2番手の内を追走。前のラプカンプーを捉えることは出来なかったが、先行有利レースの恩恵を受けて2着と好走だ。
今回の指数は75と、4走前のベスト指数の並ぶ高指数だ。ただし、前にいて位置取りのまま雪崩れ込んだようなレースなので内容としては評価できない。馬場がフラットなら、能力的に重賞レベルではないだろう。今後も、基本的には重賞では足りないとの認識で良い。
3着 レッドアンシェル
「先行有利レースの恩恵を受けるも、能力下降線で物足りない結果だった。」
道中は中段の内側を追走。直線に向いた時はコーナーワークで5番手だった。そのまま沈んできた2頭をかわして3着となったが、前の2頭との差は縮まらなかった。この馬の能力なら、あの位置から勝てなくてはいけないだろう。今回の指数は72と低値。これで、長期休養明け3戦続けて23→70→72と低値であり、能力が下降線に入っていると断定して良いだろう。
今後も重賞では基本的に能力不足との認識で良い。
4着 タイセイアベニール
「後方から差し遅れて脚を余した。」
後方追走で、直線に向いた時には、前から10番目ぐらいの位置取り。今回のような先行有利レースでは物理的に届くはずもなく、最後は頑張って伸びてきてはいるが、4着までが精一杯。
今回の指数は73で、前走記録したベストタイ指数だ。これで近4走70→72→73→73と安定傾向に入ったようだ。
ただ、今回は位置取り面で能力が出し切れなかったのもあるので、実際はもう少し出せる力はあるだろう。実際75ぐらいまでなら出せる余地はあるのではないか。75程度なら低レベルG3ぐらいまでだろう。ただ、まだ上昇余地はあるので、今後さらにレベルの高いところまで行ける可能性も十分にある。
5着 エイシンデネブ
「後方から差し遅れて脚を余した。」
道中はほぼ最後方追走だった。直線は最内を頑張って伸びるも、あの位置からでは物理的に届くはずもなく、5着までが限界。今回は度外視でいい。
指数は71だが、差し遅れなければもう少し出ていただろう。ただし、基本的に重賞で勝ち負けできるレベルにはないので、今後も評価しなくて良い。
6着 ノーワン
「後方から差し遅れて脚を余した。」
道中はほぼ最後方を追走。4コーナーでも外を回しており、当然物理的に届くはずもない。今回は度外視でいい。ただし、追い込み馬の中では最も鋭い末脚で伸びてきており、6着は大健闘だろう。
指数は71と低値だが、この馬のベストは阪神カップで72だったので、逆展開の中で71は優秀と言って良い。前で競馬出来ていたらベスト更新まであっただろう。ただし、重賞で勝ち負けできるレベルにはなく、せいぜいオープン特別程度まで。
7着 アウィルアウェイ
「後方から差し遅れて脚を余した。」
この馬も道中はほぼ最後方からの競馬。ノーワンと同じ位置から外を回して伸びてくるも、あの位置から物理的に届くはずはなく、7着が精一杯。指数は70の低値だが、今回は度外視で良い。
この馬は過去に差し展開で77の高指数を出したことがあり、展開が合えば重賞勝ち負けの力も持っている。馬場、展開次第で大きく指数を増減させる馬なので、今後も差しが決まると予想したレースでは重賞で狙っていく。ただ、基本的に短距離は前が残りやすいので、狙えるタイミングは少ないだろう。
8着 グランドロワ
「能力が足りなかった。」
中段やや前のインコースを追走。直線に入った時はコーナーワークで前から6番手。力があればギリギリ届く位置ではある。ただ、この馬の能力では差しきることができず、他馬と脚色が一緒であった。指数は69の低値であるが、この馬のベストは4走前の70なので、この馬なりに頑張った結果と言えるだろう。ただ、重賞で足りる力を持っていなかったというだけだ。
今後だが、まずオープン特別でも足りないだろうから、基本的に狙うタイミングはない。
9着 ジョイフル
「能力が足りなかった。」
中段追走だったが、4コーナーでは外を回したため、物理的に届く位置取りではなかった。ただし、直線でも伸びを欠いており、後方から来た馬にも差されている。この馬自身の力が足りなかった結果と言える。指数は68の低値。
4走前のタンザナイトステークスでは75の高指数を出していたが、その後は下降線に入っているようで、近走は良いところなし。年齢的にもここからさらにピークをあげてくることは考えにくい。基本的に狙うタイミングはない。
10着 ロケット
「能力が足りなかった。」
中段追走で、直線に向いた時は前から7番手ほど。ただし、そこから全く伸びることができずに10着と沈んだ。指数は66の低値で、内容を見ても完全に力負け。そもそも持ち指数が71と3勝クラスレベルだし、重賞で戦うには力が足りていない。
11着 ディメンシオン
「1200mのペースで追走に苦労した。」
2番手集団の追走となったが、追走で脚を使い果たし、早々に沈んで行った。マイル戦の阪神牝馬ステークスでは指数75のベストを出しているように、適性はマイルにあるのだろう。今回は1200mのペースの追走で脚が無くなってしまったようだ。近4走では1400mの京都牝馬ステークスが69で最も低かったのだが、今回は65とさらに低値を更新。短い距離に適性がないことが確定した一戦となった。今後だが、マイル戦では重賞でも3着候補ぐらいで狙っても良い。
12着 クリノガウディー
「直線で挟まれてしまった。」
中段追走から直線抜け出しを狙ったが、落ちてきたディメンシオンと横からきたロケットに完全に挟まれてしまった。そして、残り200mほどから追い出せたが、スピードに乗る前にレースが終わってしまった。
不利の影響が大きく、度外視で良い。ただし、残り200mでもう少しリカバリー出来ても良いかなとは思う。それを考えたら叩き良化感はあると思う。G1で1着入線とあるように、力はある馬なので、ここを叩いて次走再び狙いたいところ。
13着 ナインテイルズ
「能力が足りなかった。」
好スタートだったが、位置を取りに行かず後方からの競馬。ただ3コーナーほどから追いっぱなしで手応えはよくなかった。直線も伸びることができず13着まで。
能力的には3勝クラスでも足りない馬であり、完全に力負けと言える。年齢を考えたらここから再浮上は難しいだろう。
14着 ミッキースピリット
「能力が足りなかったし、稍重馬場も合わない。」
中段追走から4コーナーでは外を回して、直線に向いた時には9番手集団。この位置からでは物理的に届きようがないが、結局伸びも欠いており実力不足だったと言える。
前走は指数ベスト更新で70を出したが、展開的に向いた結果であり、展開が向かなければ重賞では通用しようがないということ。また、これで稍重以上(0,0,0,4)と渋った馬場も得意ではないようだ。
今後だが、現状では力不足であるが、一応まだ上昇余地はあるので、一度立て直して力をつけることを期待したい。
15着 ダイシンバルカン
「能力が足りなかった。」
2番手追走だったが、能力が足りず早々に沈んでしまった。
近4走ベストが67と、2勝クラスレベルの持ち指数しかないこの馬が、展開が向いたとはいえ重賞で通用するレベルにはなかったということだ。
今後だが、年齢的にもここから再浮上は難しいように思う。
16着 ショウナンアンセム
「まだ復調気配なし。」
中段追走から全く伸びることがなく、最下位に沈んだ。
1年ぶりの出走となったが、屈腱炎明けでまだベストパフォーマンスではないということだろう。これを叩いて次走見てみたいが、年齢的にもピークから下降線だろうし、重賞で再び好走するのは難しいだろう。
まとめ
まずは直近の阪神開催は前が有利傾向だった。今回は字面こそハイペースになったが、直線向かい風の影響もあり、前が極端に有利な傾向になった。
前にいた馬で1,2,3着独占となり、後方から差し遅れた馬が多発した。 1,2,3着は展開利を受け手の好走なので、このレースで大きく評価を上げることはしない。4,5,6,7着の4頭は全て後方から差し遅れており、力を出し切ることができなかったレースである。8着以下は基本的に力不足との認識でいいだろう。
1着ラブカンプーは、最大限の展開利と最軽量ハンデということで再現性無し。
2着アンヴァルも展開利を受けており、馬場がフラットなら重賞レベルとは思えない。
3着レッドアンシェルは好位から伸びを欠いて3着まで。能力的にはピークを過ぎており現状ではオープン特別レベルか。
4着タイセイアベニールは後方から差し遅れたが、指数ベスト維持と頑張っており、展開が向けば今後期待が持てる一頭である。今回のレースで最も評価したいのはこの馬だ。
5着エイシンデネブ、6着ノーワン、7着アウィルアウェイも後方から逆展開をよく伸びており着順以上には評価したい。
本命にしたクリノガウディーは挟まれてレースにならなかったが、挟まれなくても微妙だったなという手応えだった。好追い切りでいきなり好走できるかなとも思っていたが、叩いた方がいいタイプなのだろうと認識を改める。
これにてCBC賞の回顧を終了する。
来週は七夕賞を予想する。ローカルハンデ重賞ということで、カオスなレースになりそうだ。